リジェネラティブ・アーバニズム展ー災害から生まれる都市の物語 三井不動産創立80周年記念事業
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火成都市Pyro-active City

境界のデザインが
森林火災と都市生活に均衡をもたらす。

この井戸で紹介する「火成都市」は、高温で風が強く、乾燥した広大な低木林と森林、険しい山脈など、森林火災が発生しやすい条件下にあります。
人々の生命と財産は、常に森林火災の猛威と隣り合わせであり、そのため「火成都市」の人々は、居住区と可燃性の森林生態系との境界面に、火災を抑制しながら自然環境と共生する独自の防災空間を築いています。

エディティッド・エッジ(原生調整帯と都市調整帯)

「エディティッド・エッジ」は森林と居住区の間に敷いた、それぞれに異なる機能を持つ2本の防災調整帯で、この都市のコミュニティにとって破壊的な森林火災との共存を可能にします。

森林に接する「原生調整帯」では、居住区への延焼を防ぐため、住民による下草の刈り取りや野焼きが日常的に行われています。高い防火壁で囲ってしまうのではなく、森林生態系へのコミュニティの関与を高めることで、人と自然の健全で循環的な関係を構築しています。

火災発生時は消火と救急活動の大動脈となる消防道路を挟み、居住区側にある「都市調整帯」には、不燃素材で建設された太陽光パネルや風力発電ポールなど、自然エネルギーを取り入れるインフラが効率的に配置された人工的な風景がひろがっています。ファーマーズマーケットや娯楽施設もこのエリアにあり、便利で快適な都市生活を支えるとともに、コミュニティ内の交流の場となっています。

アグリベルト

「アグリベルト」は、山の傾斜地にある防火機能を備えた農村地帯です。耕作は有機物を増加させることで土壌の保水率を上昇させます。山火事が発生する季節は植物の水分量も多くなるため、火災の発生を予測して農地を適切に配置すれば、地域全体の耐火性向上が可能なのです。

「アグリベルト」にはホテルやマーケット、ワイナリーも整備され、観光経済による自立的・持続的な地域経営が図られています。コミュニティセンターや公園、野外教室は、地域住民のつながりを強化し、防災・農業・観光が一体となった、新たな地域文化を醸成しています。

シティシード

森林火災の多発地域にテラフォーミングした「火成都市」の住居形態「シティシード」は、土でつくられたアドビ建築と、地下居住が特徴です。蟻塚のような耐火性の住居群は、この乾燥地帯で古くからある、砂、粘土、ワラを混ぜ合わせる工法を、最新のテクノロジーで再現しています。火災を避けるため主な居住スペースは地下空間にひろがり、熱や空気の流れを制御する最新の空調システムを備えています。住居群のまわりには貯水池が配置され、蓄えられた水は山火事の際には消火活動に、平常時には灌漑(かんがい)農業に使用されています。

このように「火成都市」では、「エディティッド・エッジ」の高度な防火戦略、森林生態系と共生する農村開発モデル「アグリベルト」、 耐火性と貯水機能を備えた住居形態「シティシード」の開発により、恐ろしい森林火災との共存・共栄を可能にしています。


火成都市に関する各大学の研究内容

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